Uncut特集:オーディエンスとジョニー・グリーンウッド

『Uncut』2012年12月号にジョニーがファンや有名人から寄せられた質問に答える特集が掲載されている。質問はメールやソーシャル・ネットワークを介して受け付けられ、ジョニーは旧い機材、ギターやエフェクター、レディオヘッドの未発表曲、自身が手がけた映画のサウンドトラック、そして彼が愛してやまないコンピュータゲーム等の質問に答えている。ドイツのファンサイトCitizen Insaneではこの記事をテキスト化し掲載している。

観客とジョニー・グリーンウッド

– [スターの質問]サントラを書くことになったきっかけは?ポップソングを書くのとはどのように違うの?想像がつくと思うけど、僕は君の新たな天職に嫉妬しているんだよ…
マシュー・ベラミー (Muse)

ジョニー(以下J):ディレクターとかバンドとでやるみたいに、人とコラボレーションするのとは違う。ドラマーやベーシストの代わりにイメージやストーリーの山がある。楽しいよ!嫉妬しないで。それに君と僕は仕事面では今まで十分満足してる側を見てるだろうからね。いつでも作曲家の待遇はあまりよくない。多くの映画では次のように段階づけされている。そう、重要度の高い順にメイクアップして、いろいろ試すための時間は与えられていない。彼らはその時点の作曲家を“手放さ”なければならなかったから僕に依頼してきただけだし、実際そういうことは沢山起こっていると思う。たしかThe Masterのスコアを制作している間に気づいたんだ。僕はジャズフルートを追加し続けた。ポール(・トーマス・アンダーソン)は僕にロン・バーガンディの写真を送りまくってた。

– どうやってポール・トーマス・アンダーソンとコラボを始めたの?彼の映画の何があなたを魅了したのですか?
シェーン・ルバーノ(ニューヨーク、イサカ在住)

J:彼が僕のオーケストラ作品を収録したブートレッグを何点か見つけて。そしてThere Will Be Bloodの初期の数シーンに曲をのせてみた。それからより多くを求めてきたんだ。彼は音楽に熱心で、アビー・ロードでのストリングス収録日にもやって来て2人でオーケストラとの密接な関係について話を弾ませたよ。

– はじめて買ったギターとはじめに習った曲は?
ニコラス・ガウナ(アルゼンチン、ブエノスアイレス在住)

J:14歳のときにオックスフォード・ジャーナル紙の“売ります”欄に載ってた40ポンドのフェンダーのアコースティック、その後16歳のときに僕の先生からエレキギターを買った。アコギはまだ持ってるけど、エレキギターは初めてのレディオヘッドのツアーのときにリーズで盗まれてしまった(誰かがそれを見てたならクリーム色のテレキャスターだよ)。僕はあまり他のバンドの曲をやった憶えはないけど、たぶんトーキング・ヘッズの「Psycho Killer」じゃないかな。学校に小さなギター室があって、そこではティーンエイジャーたちがたむろしてお互いにU2の曲をプレイしてた。でも僕はU2のレコードを持ってなかった。

– We Need to Talk about Kevin(少年は残酷な弓を射る)のサントラがリリースされないのは何かアイデアがあるから?
ローラ・テイラー(ペンゲ在住)

J:十分な尺がなかったから。ちょっとしたスチール弦ハープの曲はあるけど、他は放送番組とか昔のLWラジオを録音してラップトップで生成したのがほとんどだし…映画の中では良いが独自では全然レイダース・失われたアークみたいにはならないね。

– [スターの質問]There Will Be Bloodのような現代的なクラシカル・メルトダウンと同じように“ロック”も書くの?
スティーヴン・マルクマス

J:僕はまったく歌唱力がないことが足かせになってる。それに加えて実はいくつかのギターコードのシーケンスから歌を作れない。クラシック曲については、紙の上に書いてる時点でかなりの楽しさを見つけている。ちょっとしたフィルム写真みたいなものだね。だから、アイデアがあって、ふさわしいものが出てくるかを確かめている間は時間がかかる。数週間の作業やそういうものすべてはある日の午後の成果となり、初めてどんなサウンドか知るようになる。

– 養鶏をやるにはどうしたらいい?
マシュー・ウィンダム(モンタナ州ミズーラ在住)

J:よし、お問い合わせありがとう。卵をできるだけ産むのがいいね。卵はおいしい。半ダースくらいがご希望?数年毎にキツネを捕まえるんだ。奴らが鶏にしでかした場合ちょいちょい犯罪現場に向かう−たくさん埋葬しないとね。キツネは1〜2匹は捕らえて、他はたいがい殺す。

– 現在行っているレディオヘッドのツアーで披露した新曲4曲は素晴らしかった。だけど“The Present Tense”, “Burn The Witch”, “Open The Floodgates”, “Big Boots”のようにリリースされていないファンお気に入りの曲があります。それらの曲はどうなるか教えてもらえませんか?
ニコラス・オームブレック(メールにて)

J:僕らは曲を書いてきた長い歴史があり、何年も前からレコーディングしていない曲がある。“Nude”はちょっとむかしの曲だったし、“The Daily Mail”もそう。ときどきレコーディングのリハーサルをしている間にふさわしく聞こえてレコーディングすることがある。別の機会ではそれがふさわしくないと思うこともある。僕らはそれらの何曲かが完成に行き着くことを望んでいる。とくに“Burn The Witch”や“Present Tense”は素晴らしい出来だろうから。アレンジを整理したらの話だけどね。

– 今お気に入りのゲームは何?
カスパー・オジャ(エストニア在住)

J:ええと…ツアー中だから僕がやるのはMacBookでできるゲームに限られてる。最高のゲーム環境ではないし、もちろんみんなも知ってるよね。君がゲームオタクならわかってくれるだろう。僕はUSツアー第1弾でPortal 2をクリアした。あれはパーフェクトだね、ライヴ会場のスポーツアリーナすべてが暗い廊下や窓のない巨大なコンクリートの箱モノばかりでPortalのテストチェンバーのようだったから、Portalから現実世界に戻っても混乱してた。全編良いゲームだよ!僕はFPSから遠ざかっててコッチ系のゲームのリサーチをしてなかったんだ。Portal 2は僕にドンズバだった。その他?LIMBOは良いゲーム。Ski Safariはとてもよくできてる。Plants Vs Zombiesも。そして僕は2周目のBraidを始めたところ…タイムシフトのアイデアは大好きだ。本当にどれくらい僕を痛めつけるんだろうね。

– オンド・マルトノ以外でお気に入りの珍しい楽器はある?
エイミー・ブラウン(メールにて)

J:いくつかのバンドが実際に作詞作曲をするのにへんてこな古いキーボードの件で終わらない議論をするのを避けるために機材を集めることから遠ざかっているのを気に留めている。機材を使ってやることよりも楽曲の音についてになった。だから僕は新しい機材を探すのを止めた。そして、代わりにちゃんとオンド・マルトノを演奏することを学んだ。僕の時間を機材に費やすよりもはるかに価値があることだ。

– 昔の曲が入っていたという理由で急遽There Will Be Bloodのアカデミー賞ノミネートを辞退することになった件で何か意見はありますか?
アレン・ギャラガー(ペイズリー在住)

J:大きな一歩はスコアの仕事をしたということだし、ロンドンでのストリングス・レコーディングはとても楽しい一日だった。それでトップに立とうとするのはどうでも良いことだ。それでもカーモード・アウォード(※英の人気映画評論家、マーク・カーモードがアカデミー賞にノミネートされなかった作品を対象に選ぶ賞)を受賞したことはとても誇りに思っている。7歳の子どもが工作用粘土と金のスプレーで作ったようなトロフィーであってもね。

– 最近のインタヴューでギターは“古臭い”と思っていると言ってますよね。具体的に説明してもらえませんか?厳密に言えば、オーケストラやオンド・マルトノはもっと古臭いものではないですか…?
ポール・ミラノ(ヴァージニア州ポーツマス在住)

J:うん、うん。これはずっと僕の頭の中でぐるぐる回ってる矛盾だ。だから基本的に、君はそれが時代遅れのものとか…すべて対等の扱いだとかいう考えすべてを否定していい。僕は後者かな。ただギターバンドを結成するための伝統的な方法を指摘してたんだと思う。決してディキシーランド・ジャズ・バンドのことじゃないよ。ただ、そうなってきてるなあと。20年代からのメロディ・メーカーや、60年代から今までのNMEの表紙を見てよ。バンジョー、ギターバンド…ギターバンドと来てる。たぶん、小さなグループでエキサイティングなライヴ音楽を作る他の手段はなくて、明らかにそれが骨格となってる。部屋でドラマーとギターを演奏することが完全に満足なんだ。でもその後で時代から後退してるファッキンなオンド・マルトノが受け入れられたことが嬉しかった。だから…まだそれに取り組んでいる。カリブーにはかなり驚いてて、とても良いバンドだ。新しい良いものはまだ人を驚かせることができる。

– [スターの質問]ユーモアは音楽のひとつ?
アダム・バクストン

J:マルクマスの後にこの質問は面白いね。彼の歌詞が証明してるし、彼の歌詞は僕が暗記して引用できる数少ないもののひとつだ。「…ホテルのロビーで、ボーイとなれなれしい接客係の目の前で」(※Pavement / Shady Lane) 歌い方、表現方法、メロディー…パーフェクト。

– テムズ・ヴェール・ユース・オーケストラでのヴィオラ奏者としての10代の思い出はある?最後に演奏したのはいつ?
ニック・クレイデン(ノースヨークシャー、ウィットビー在住)

J:フルオーケストラを聞いたのはそれが初めてだったから、僕にとっては素晴らしい時間だった。アビントンのラークメッド・スクールで練習してた。練習場でストリングスが全員合わせて演奏していたのを聞いて感銘を受けたのを覚えている(学校のオーケストラとは違っていた…)。断っておくと、僕はその後すぐヴィオラをやめた。得るものはあったよ。愛されていないヴィオラをプレイしていたことは役に立った。ディレクターは僕らにシベリウスをいっぱい演奏させて、僕はまだ彼の音楽を聴いているし、ヴァイオリン・コンチェルトは子どものときにクラシック音楽の道に入るのにはかなり良いものだよ。僕らがEMIと契約してツアーを始めたとき、僕はオーケストラで演奏するのをやめたんだ。

– 使ってるエフェクトペダルはどれくらい?お気に入りは?
アントワーヌ・シャーリー(リヨン在住)

J:7〜8個?ピッチシフターとかフリーズとかシンプルなモノが好きだね。手間のかかるエフェクターは興味ないかな…いろんなタイプのディストーションペダルとか、ハット全般も。Hail To The Thiefセッションの間にエフェクター無しのギターサウンド、クリーンだけを使う期間を経た。それはちょっと自滅的で苦しかったけど試したかったことだし、ペダルにべったり依存するのを回避したり、それら無しで面白いことを思いつくかどうかも確認できる。

– あなたに影響を及ぼしたペンデレツキを越えるのは何?たとえば、シュトックハウゼンとか(ジョン・)ケージとか。
ジャレド・ナグル(サンフランシスコ在住)

J:ええと、ペンデレツキで興味深い点は彼が60年代のエレクトロニック・ミュージックについて全て学んでいたことで、その後その知識をオーケストレイションに活かして誰かがシンセを取り入れるよりも多くの変わったサウンドやテクスチャーを得たことだ。彼の抽象的な楽曲を演奏するオーケストラは1組のスピーカーから出る多くの音を聞くよりも前に座って聞いたほうが素晴らしい。可能であればコンサートで試しに聞いてみて。初めての交響曲は良いスタートになるよ。